自叙伝制作事業

親から子へ、子から孫へ

みなさんは両親や祖父母について、どれだけ知っているでしょうか。

学生時代に何をしていたとか、どこに住んでいたとか、どんな仕事をしていたなど、経歴のようなことだけでなく、それぞれの時代に『どんな苦労をしたのか』『何に熱心に取り組んでいたのか』『その時周囲の人にどう助けられたのか』など。

両親や祖父母から自慢話のように聞かされて育った方もいれば、そういう機会が意外とない方も多いかもしれません。

私は明らかに後者でした。
大人になって就職や結婚などいろいろな経験を重ねる中で、自分が今まで生きてこられたのは紛れもなく両親のおかげであることを実感する一方で、その両親がいったい何者なのか、全くもって分かっていないことに気付かされました。

とは言うものの、「じゃあ教えて」と気軽に聞く機会はなかなかありません。いえ、そんなのは甘えであって、聞ける状態にあることに感謝しないといけないのかもしれません。だっていつまでも頭が健康でいるとは限らないですから。

祖父においては、生まれる前に亡くなっていたので、本当に何も知らないに等しい状態でした。自分と血のつながりのある大切な存在よりも、トーマスエジソンやキュリー夫人についての方が詳しいなんて、少し残念な話です。

なぜ自叙伝?

少し脱線しますが、自叙伝制作事業をはじめようと思ったきっかけの話です。

わたしは新卒で入社した生命保険会社で、商品開発をしていました。がん保険の保険料を決めるために、統計データを用いて、がんと診断される確率を男女年齢別に算出し、現在の金利状況を元に…といった専門的な数理知識を要する業務です。

入社してまず仕込まれるのは、”生命保険の素晴らしさ”です。
生命保険とは、自分にもしものことがあった時に、大切な家族にお金を遺す仕組みのことを言いますが、イギリスでは生命保険のことを『ラストラブレター』と呼ぶことがあるようで、生命保険は亡くなった方が残された家族に送る最後のラブレターという意味合いだそうです。

そこで私が感じたのは、たしかに一家の大黒柱がいなくなった状態で、まとまった保険金が払われたら助かるし、感謝もするだろうけど、残された家族にとって大切なのは、お金だけではなく、その人の人生経験やメッセージではないかということ。

しかし『ラストラブレター』(生命保険)はもちろんのこと、亡くなったあとに残るお墓も形見も、これ自体が何かを語ってくれるわけではありません。

そこで自叙伝が出てきます。

これまでどう生きてきたのか、何を生きがいに感じてきたのか、何が楽しくて、悲しくて、嬉しくて、つらくて、といった人生の道のりや、家族への想いやメッセージを形にした自叙伝は、将来子どもや孫にとってかけがえのない宝物になるものだと考えるようになりました。

「自分の人生なんて普通なので」

これまでに自叙伝を制作したお客様も初めそうでしたが、日本人特有の謙遜で多くの方は「自分の人生は普通なので」「自叙伝を残すほどの人生じゃない」などと仰っていました。

ここで考えていただきたいのは、 自分の人生を商業出版して、ベストセラーにするのが目的ではなく、自叙伝は子や孫、家族や友人が読むのだということ。

自分の祖先について知ることができるとなったときに、どれだけ立派だったかお手並み拝見、自慢話を聞きたいとは思わないのではないでしょうか。普通というのは履歴書に書くような経歴のことであって、どんなに平凡な人生だったとしても、家族からしてみたら、すべてが興味深く感じられるはずです。

実際に作成された方の中には(70代女性)「初めは自叙伝といっても、書くことはないと思っていましたが、インタビューをしていただくうちに、どんどん昔のことが思い出されて、楽しく話させていただきました。平凡な人生でしたが、いざ本という形になってみるととても感慨深いです。」

また母の自叙伝を作成してほしいと依頼してくださった方(40代女性)は「母のことですが知らなかった話も多く、接し方がかなり変わりました。親に優しくなれます。」と仰っていただきました。

両親、祖父母へのプレゼントに

これまで自叙伝についてお話してきましたが、誰に向けて書いているかといえば、作成される御本人というよりは、その子、孫の皆様に向けて書いているつもりでした。

もちろん所謂高齢者と言われる方が自発的に、自叙伝を作ろうといって依頼いただくのも嬉しいですが、おすすめの用途は、上記の母娘のように『両親、祖父母へのプレゼント』にしていただくことです。

冒頭にも書きましたが、やはり両親のことであっても知らないことも多く、改めて聞く機会もそう多くはないし、わざわざ聞くのも小っ恥ずかしいと思います。仮に親のことは何でも知っているとしても、本という形にして読んでみると感謝の念が強まると思います。

両親、祖父母からしてみたら、自叙伝を作ってみない?と言われると、例の「自分の人生なんてそんな…」と謙遜しつつも、自分に関心を持ってもらえるのは嬉しいはずです。愛の対義語は無関心ですから。

また自分の子だけでなく、孫にも読んでもらえるのが大きいと思います。

多くの祖父母⇔孫は、コミュニケーションをとれる機会があまり多くないと思います。祖父母が昔話をしても幼い孫からすれば何のことやら、、そして成長する頃には離れ離れに暮らしていたり、話す機会も少なくなることが一般的。

しかし自叙伝を残しておけば、孫が大きくなってからでも読むことができます。祖父母への尊敬の念、愛情がより大きくなることでしょう。祖父母が皆亡くなってる私からすると、自叙伝が残っているのは本当に羨ましいです。

自叙伝≠終活、死

自叙伝というと晩年に人生の集大成として書くことを連想するかもしれません。実際にそのように自叙伝を残された方も多いと思いますが、自叙伝はそういうものではなく、もっと若く、例えば人生のセカンドステージを歩もうとする定年を迎えたくらいの方、もしくはもっと若い方がまずは書くべきものだと思っています。

それは第一に誰しもいつまでも元気とは限らないからです。心身とも元気なうちに、記憶が薄れないうちに書くのが良いです。何より自叙伝は一度きりしか作れないわけではありません。時が経ち更新された人生経験はまた追記すればよいのです。

第二に、自叙伝を読んでもらうなら、子や孫が若いうちの方が良いからです。例えば100歳の方が自叙伝を残して、60~70代の子が読むより、60~70代の方の自叙伝を30代の子が読む方が得られるものはたくさんあるでしょう。自分自身が親になるくらいの年代で自叙伝を読むことで、改めて両親の苦労を知り、感謝の気持ちが大きくなるのではないでしょうか。

最後はお葬式に

作成した自叙伝はいつまでも本棚で保管され、代々受け継がれていくことになると思います。良い状態をキープできるよう、作成する本は丈夫で立派な装丁にしてあります。

一つおすすめしたいのは、将来いつの日かお亡くなりになったときに、お葬式に自叙伝の冊子を置いておくことです。

私はこれまで2回(会社の同期、妻の祖父)葬式に参列したことがありますが、一通りの儀式的なことを行うだけでなく、亡くなった方について知る手段があればいいのにと感じました。

どれだけ素晴らしい人生を歩んできたのかを知り、思いを馳せる時間は尊いものだと私は思います。

制作の手順

基本的には私が自叙伝を制作されるご本人にあれこれインタビューさせていただき、文章を執筆いたします。

インタビューは対面で行うこともできますが、オンラインでzoom、または最近は高齢の方でもLINEを使われる方が多く、LINE電話でも行えます。なるべくお顔を拝見しながら話を伺いたいので、電話は非推奨です。

作成物としてはハードカバーの本と、御親戚やご友人に配布するための簡易的な冊子の2種類をお配りしております。必要部数によって料金は変動しますので、気軽にご相談ください。